蜜柑のプロジェクトverβ

シホンシュギ、ヒャハー

佐藤(1993)

近代・組織・資本主義―日本と西欧における近代の地平

近代・組織・資本主義―日本と西欧における近代の地平


<<中心的な問い>>
<近代>とは何か?

我々の生きている日本近代社会は、今述べたように、二重の力学に支配されている。<近代>を問うことはすなわちこの二重の力学を解くことである。それがいかなる形で発動され、いかなる方向性をもち、いかなる地点に日本社会を動かしつつあるのか。――それが我々のテーマである。5

――二重の力学とは?

西欧近代に追いつき追い越そうとする日本近代の運動がつくりだす力学それをさらにふくみこんで展開する近代という巨大な運動の力学。4  

⇒明治以来、日本社会はこの二つの力によって動かされてきた。
 「近代/脱近代」という言説もその一端に過ぎない。


2つの特殊性の解除
・日本的な社会を語る言葉のあからさまな特殊性
・西欧的な社会を語る言語のかくれた特殊性


■理解社会学――社会の1次モデルを記述・分析 10-

●1次モデル…ある社会が固有に持っている社会理論[公式の社会像、設計図]
 2次モデル…外的な観察者が社会制度などを見て「この社会はこういうふうになりたっている」と記述・説明する

●理解社会学――行為において≪思念された意味=行為者の意図≫を記述する。
①社会は相互行為の集積体
②行為はそれがもつ意味によって記述される
③行為の意味とはその行為者の意図
④社会は行為者の意図の集積体
【問題】暗黙の仮定…行為の意図が多くの行為者の間で共有されているという仮定
↓↑
相互行為における解釈というプロセスに何らかの共通性を見出す。


―「行為の意味」/「行為の意図」
 ―「解釈図式」(シュッツ)…日常的な行為者は多くの場合、相手の真の意図を問題にせず、解釈図式にしたがって相手の行為を理解し、それに対して反応する。

こうした[行為の]自由度の存在自体、一般的な解釈図式が存在していて、自分や他人の行為は多くの場合この解釈図式によって理解される、という事実を前提にしている。社会的な相互行為では、行為の意味≠行為者の意図なのである。13

⇒社会的な行為は真の意図の如何にかかわらず、解釈図式上での意味で理解され、社会に流通していく。
【依存性の強度】
①不特定多数の人間が関係し
②社会領域(継続的・定型的な相互行為の領域)において強い
→社会の解釈図式の解明=それに依存して営まれる相互行為の特性の解明


一般的な解釈図式(社会の公式な解釈図式)…その社会が持つ社会理論、社会像、人間像と密接に関連している。(1次モデル)


理解社会学…この解釈図式における行為の意味を問題にする。


公式の解釈図式と行為の意図の乖離の可能性は存在する――公式の解釈図式///行為の意図
↓↓<認めた上で>
【論点】解釈図式とその背後にある1次モデルが社会にいかなる影響をもたらしたか