蜜柑のプロジェクトverβ

シホンシュギ、ヒャハー

南田勝也、2001、8『ロックミュージックの社会学』青弓社ライブラリー

ロックミュージックの社会学 (青弓社ライブラリー)

ロックミュージックの社会学 (青弓社ライブラリー)


読了。

ブルデューをかじるために。



■3つの価値観の体系

以上、一九六〇年代中後期の考察を通じて、「ロックなるもの」を成立させる要素や「ロックであること」を決定づける価値観の体系がなんであるかを検証してきた。社会的布置での下方向指向を意味する<アウトサイド>、純粋芸術へ挑戦しつづける<アート>、ポピュラリティを獲得していく<エンターテイメント>。こららは時代的背景である対抗文化と相互依存関係やロックンロールとの関係性のなかで生み出され、意識され、また継承されるものとなったのである。この三つのそれぞれに集約される価値観、特性、美意識が相互に絡み合うことで、ロックは独自の領域をもつ文化として成立した。その三つはまた、演奏者が自負心をもって自身をロック・ミュージシャンだと思うとき、聴衆がロックを聴いていると考えながらその音楽を聴くとき、批評家がロックの名盤を選ぶとき、それをロックだと思える根拠を決定づけてさし示す指標となる。つまり「ロックとして卓越した存在になること」を証明する原理となるのである。
pp.36