蜜柑のプロジェクトverβ

シホンシュギ、ヒャハー

消費空間:<商店街>と百貨店、その1


グローバリゼーションと都市変容 (世界思想ゼミナール)

グローバリゼーションと都市変容 (世界思想ゼミナール)

新雅史、2011、10「両大戦期間グローバリゼーションにおける<商店街>の形成」遠藤薫編『グローバリゼーションと都市変容』世界思想社


商店街はどのように形成されてきたのか、<商店街>という理念はどのような社会状況・環境の中で形成されてきたのかを考察。


・離農者達がわらわらと都市部に出てきて商売を始めた(零細小売商の増加)
・百貨店の登場
消費者運動の強まり

といった中で、専門家(行政、商学者など)の社会問題の解決的スタンス下で形成されていった。【1930年代】

 <商店街>はたんなる零細小売店の集合体ではなかった。それはたんなる消費の場を超えて、地域の人々にひとしく娯楽の場
を提供するという「地域のインフラ」として見なされた。<商店街>は零細小売商を保護するというところに出発点があった。
だが、その思想は零細小売商だけのものではなく、都市の人々に「娯楽と消費の場」をひとしく供給する施設としてとらえられ
るようになった。こうして<商店街>がこの時期に登場したのだが、その思想を実現化していくための制度化がたてつづけに実
現することになる。p268

専門家からは期待されていたんだなという印象。
ひかれている論者は、商学者とか都市社会学者とか。新聞でかかれていたり。
実際、この人達の影響かどうかはわからないが、1930年代以降に、商業組合法、距離制限(免許制)、時間制限など制度的取締り
がしかれていく。

<商店街>は1、百貨店における近代的な商品秩序と娯楽性、2、協同組合における共同主義、3、公設市場における小売の公共性、
という三つの要素を取り入れつつ形成された。そして、その理念にふさわしい法整備が、1930年代に矢継ぎ早におこなわれる
ことになったのである。p271

対立するもの(ここでいう1、2)を取り込んで形成されていったというところは、おもしろい。


■新しいものとしての<商店街>

われわれは、<商店街>を、「伝統」的なものと見なすことはできない。というのも、<商店街>は、20世紀前期に訪れた
グローバリゼーションの力学-都市居住者と零細小売業の増加-にたいして新たに提案されたものだったからだ。

そして、既得権を守る圧力団体化、専門性の薄さなどp272、当初の理念からは離れて<商店街>は凋落しているとしている。



現在からみると<商店街>に過剰な理念を詰め込みすぎていたのではと思ってしまう。【消費の場+α】
結局今から見れば、期待に答えられているとは言いがたいわけだし。理念と実践の合致は難しい。