山之内「編集方針について」
1992年-1994年の共同研究
『総力戦と現代化』『ナショナリティの脱構築』
●研究動機
ベルリンの壁の崩壊(1989)、米ソ対立と冷戦期の終焉(1990年代初頭)によるグローバル化と国民国家の動揺、世界秩序の新たな編成の不在
●出発点
国民国家が第二次世界大戦の総動員体制によって社会のシステム統合という段階にいたったこと
・民主主義の性格:国民国家への政治的忠誠によって大きく制約されざるをえないこと
・福祉国家の性格:国民国家へのシステム統合を前提とする
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現代社会は、国民国家へのシステム統合を基準として、その内部に位置する者とその外部に位置するものという区別をもたらした。この区別は排除と差別の構造として機能せざるをいない。エスニシティへの帰属を根拠とする抗議行動が噴出しているのは、この排除と差別に関連している。4
●「問い」の到達点
・総力戦システムの制約を越えてゆくこと
・可能性の模索
この可能性はむしろ、日常の場において私たちの慣習化された意識(=ハビトゥス)を批判的に吟味するという新たな生活態度によって担われるであろう。4